こだわりを伝えても、高いと判断されて離れる
競合より高い価格で出した。品質には自信がある。最高級の原材料、職人の手仕事、受賞歴も並べた。それでもアクセスは来るのにカートで止まり、在庫だけが残っていく。
結局、お買い物マラソンのたびにクーポンとポイントで値引きして、なんとか売る。イベントが終われば、定価ではまた売れない。高く売りたいのに、値引きでしか動かせない。同じ堂々巡りにいる店舗は多い。まず、この行き止まりから見ていきたい。
読者が探していた「高い方を選んでいい理由」と、あなたが並べた「こだわり」が、別のものだっただけだ。
「高く売るには高級感」はどこから来たか
高く売りたいなら、ページに高級感を出す。黒とゴールドで整え、こだわりと実績を敷き詰める。多くの店舗がそうする。これは自然な流れだ。楽天は最安値比較とポイント祭りが前面に出るモールで、周りの店も一様に値下げで戦っている。その中で値下げ以外の道を探すと、残るのは「高級そうに見せる」か「特典を盛る」しかないように見えてくる。
高級感を出すこと自体は間違いではない。ただ、それを丁寧にやった後でも、読者は「気取った高い店」として離れていく。見た目を整え、こだわりを足し切った。それでも止まる。となると、読者が価格を見て何を判断しているのか、その中身を一度見直す必要が出てくる。
読者は「高い理由」より「安い方だと外すという根拠」を探している
ここで一度、視点を変えたい。読者が高い商品を避けているのは、価格が高いからではない。安いものを買って外す、その失敗を、それ以上に恐れているからだ。つまり読者は本当は、高い方を選んでいい理由を探しながらページを見ている。なのに高単価のページは、最高級・職人・受賞という、売り手のこだわりを先に並べる。こだわりは「なぜ高いのか」の説明にはなる。だが「なぜ安い方を選ぶと外すのか」には、一言も触れていない。だから読者は、自分が一番欲しかった「高い方を選んでいい理由」を受け取れないまま、ただ高い商品として離れていく。高く売れるかどうかは、こだわりの量ではなく、読者の失敗への不安を解く理由が、こだわりより先に届く順番になっているかで決まる。
最高級の原材料も、職人の手仕事も、受賞歴も、伝える価値はある。それは商品の確かさを支える事実だ。ただ、それを並べても、読者の「安い方で失敗したくない」という不安が先に解けていなければ、こだわりは「高いだけの自己満足」として読まれてしまう。こだわりを減らす必要はない。不安を解く理由が、こだわりより先に届いているかどうかが、別に残っている。
どこで「ただ高い商品」と判断されているか
見るべきは、こだわりの言葉数でも、デザインの高級感でもない。読者がページを開いてから、安い方を選ぶと外すという根拠が、どの順番で出てきて、どこで途切れているか。入口でこだわりだけ浴びて「高い店」と判断して離れているのか、読み進めたのに自分の損得に結びつかないまま離れているのか、競合との違いは分かったがその違いが自分には過剰だと判断しているのか。止まっている場所によって、見るべきところはまるで違う。だから、まず今のページで読者がどこで「ただ高い」と判断を下しているかを確かめることが先になる。
以下の状態が続いているなら、次の施策の前に今のページを見る必要があります。
- 高い価格で出すとアクセスはあるのにカートで止まり、在庫が滞留している
- クーポンやポイント倍率を上げた日だけ売れ、定価に戻すと止まる
- こだわりや実績を増やしても「他社と何が違うのか分からない」と離脱される
- 最安値や1円安い競合に検索順位とアクセスを奪われ続けている
ECの現場が、長くそう教えてきた
ECの現場では長いあいだ、高く売るなら高級感を出し、こだわりと実績を伝え、それでも動かなければクーポンで調整する、という流れが語られてきた。モールの作りも、制作会社も、その方向で説明してきた。だから、まず見た目とこだわりに手を入れ、最後は値引きに頼るのは、ごく自然な選び方だった。
ただ、その方向のまま重ねていくと、読者が「安い方で失敗したくない」という不安を抱えたまま離れている場所は、見えないまま残り続ける。こだわりを足し、値引きを重ねても、判断が下される手前は変わらない。
高い方が売れるかどうかは、こだわりの量や高級感ではなく、安い方を選ぶと外すという根拠が、読者に届く順番で出ているかで決まる。ただ、その根拠が自社のページのどこで途切れているのかは、今のページを外から見てみないと判断がつきにくい。