価格競争から抜ける第一歩は、原因を3つに分けること
ネットショップの価格競争は、一つの原因で起きているわけではありません。
同じJANコードや型番の商品を複数店舗が扱い、買い手が「どこで買っても商品は同じ」と確認できる場合があります。価格順やショッピングカートの取得条件によって、店舗が値下げを迫られる場合もあります。
一方で、商品や提供条件には違いがあるのに、その違いが購入後の結果をどう変えるのか伝わらず、価格だけが比較しやすく残っている場合もあります。
同一商品を誰でも仕入れられ、買い手が商品差を認識できない。価格競争を避けるには、商品・セット・保証・販売権など、提供物自体の変更が必要です。
価格順、相乗りページ、ショッピングカート、自動価格追従、送料・ポイント表示によって、販売店ごとの価格や購入条件が同じ画面上で比べられています。
違いはあるのに、何を見て選べば使用結果が変わるのか分からない。買い手に残る明確な判断材料が価格だけになっています。
自社が、商品構造・売り場構造・購入判断のどこで価格競争になっているかを分ける必要があります。
商品構造が主因なのに、商品ページのコピーだけで解決しようとしても価格圧力は残ります。反対に、購入判断が主因なのに、仕入れ価格や競合の資本力だけを見ていると、ページで改善できる場所を見落とします。
値下げ前に確認する5つのこと
次の5項目を上から確認すると、価格競争が起きている層と、最初に変える場所を絞れます。
| 確認すること | 何が分かるか | 次に見る場所 |
|---|---|---|
| 商品構造 買い手が同じ商品だと確認できるか |
JANコード、型番、ASIN、メーカー品番が同じなら、商品そのものの差を作ることはできません。 | 独自セット、付帯サービス、限定仕様、PB・OEM、取扱商品の変更 |
| 売り場構造 どの画面で価格比較が始まるか |
価格順、相乗りページ、ショッピングカートなど、ページを読む前に販売店比較が終わる売り場かを確認します。 | 価格以外の販売条件、店舗評価、配送、保証、販売チャネル |
| 売り場構造 送料・納期・ポイントを含む条件差があるか |
本体価格が同じでも、総額、到着日、返品条件、ポイントで購入先が変わります。 | 商品価格ではなく、購入条件全体の見せ方と実際の条件 |
| 購入判断 結果を分ける判断基準を説明できるか |
機能や品質の違いが、誰のどんな使用結果を変えるのか説明できなければ、買い手は価格へ戻ります。 | 使用場面、失敗条件、必要性能、適合条件 |
| 購入判断 判断基準と証拠がページ前半にあるか |
違いがページ下部にあっても、見つける前に価格比較へ戻られると選択理由にはなりません。 | ファーストビュー、商品画像の序盤、主要説明の順番 |
5項目を見ても、自社の主因候補を一つに絞れない場合
主力商品1ページを見て、商品構造・売り場構造・購入判断のどこで価格競争が起きているかと、最初に確認する場所を整理します。
ページだけでは止めにくい価格競争がある
同じ商品を同じページで販売する相乗り型の売り場では、買い手が比較する中心は販売価格、送料、到着日、出品者評価です。商品説明を良くしても、その説明は競合販売店にも共通して表示される場合があります。
この構造では、価格以外の判断材料をページへ加えるだけで、価格競争から完全に抜けることは困難です。
これは「ページ改善が無意味」という話ではありません。ページで変えられる範囲を超えた問題まで、コピーへ背負わせないということです。
価格を下げても売上が伸びない場合は、値下げの反応だけを扱う「ECで価格を下げても売上が伸びない理由」も確認してください。
違いがあるのに、価格しか残っていない競争もある
自社商品、独自セット、メーカーの異なる類似商品では、商品や提供条件に違いがあります。それでもページを見た買い手が違いの意味を判断できなければ、価格だけが最も分かりやすい比較軸として残ります。
よくあるのは、機能、素材、製法、品質、実績を並べているのに、その情報を何の判断へ使うのか先に示していないページです。
買い手が知りたいのは、どの違いが自分の使用結果を分けるのかです。
例えば、耐久性が高いと伝えるだけでは、何年使えるのか、どの使い方で差が出るのか、壊れたときの負担をどれだけ減らせるのかが分かりません。買い手は、その機能を価格差の理由として評価できないまま比較へ戻ります。
購入結果を分ける判断基準を先に渡し、その基準を満たす商品事実と証拠を隣接させています。
競合との違いを前面に並べても価格比較へ戻られる理由は、「ECの商品ページで競合比較を前面に出してはいけない理由」で詳しく解説しています。
「差別化」や「ブランディング」だけでは、買い手の判断は変わらない
価格競争から抜ける方法として、差別化、ブランディング、ファン化がよく挙げられます。方向として間違いではありません。
ただし、「高品質」「専門店」「丁寧な対応」「独自の世界観」と書くだけでは、買い手が商品を選ぶ判断は完了しません。
商品ページでUSPを作っても価格競争から抜けられないのは、USPが「自社だけの違い」で止まり、買い手の結果を分ける判断基準へ接続していない場合です。
良い商品であることと、その価値を購入判断に使えることの違いは、「ECで『良い商品が売れる』は半分しか正しくない」でも解説しています。
購入判断が主因なら、ページを3段階で直す
1.何を見て選べば、購入後の結果が変わるかを先に示す
誰のどの使用場面で結果が分かれるのかを決め、買い手が機能や仕様を何の判断へ使うかを先に渡します。
2.自社商品が、その条件を満たす理由をつなげる
構造、素材、仕様、工程を並べるだけでなく、物理的な変化、使う人の行動変化、購入後の結果まで接続します。
3.写真・実演・数値・レビューで、買い手自身が確認できるようにする
形容詞で価値を主張するのではなく、必要条件を満たすことを写真、実演、数値、レビューで確認できるようにします。価格を隠すのではなく、送料、納期、保証、価格と一緒に比較すべき判断材料を確定させます。
原因によって、最初に変える場所は異なる
商品ページを直すべきか、商品や販売条件まで戻るべきかを先に分ければ、値下げ以外の打ち手を選びやすくなります。
ページで改善できる場合は、価格比較へ戻されている場所と最初に直す1点をお伝えします。
構造問題が主因と考えられる場合は、商品ページ改修を前提にしません。
値下げの前に、変えられる原因を見分ける
競合の値下げは止められません。買い手が価格を比較することも止められません。
ただし、自社が同じ商品を同じ条件で売る構造にいるのか、売り場の仕組みで価格比較へ押し込まれているのか、違いがあるのにページが価格しか判断材料として残していないのかは分けられます。
ページで変えられない価格競争なら、商品や提供条件を変える。ページで変えられる価格競争なら、違いの数ではなく、購入結果を分ける判断基準から直す。
この切り分けができると、競合の通知が来るたびに値下げする以外の選択肢が見えてきます。