売上は立つ。利益は残らない。
競合の価格変動を監視するツールの通知が鳴る。確認すると、競合が20円下げていた。管理画面を開き、自社も20円下げる。
数日後、また通知が来る。また下げる。この繰り返しが続く月、売上の数字は上がっています。
しかし、広告費と値引き分を差し引くと、手元にほとんど残っていない。売れているはずなのに、利益が増えない。
通常価格に戻すと転換率が落ちる。怖くなって、またセール価格に戻す。こうして、値下げをやめるタイミングが見えなくなります。
ただ、ページを見た読者に「価格以外で選ぶ理由」が届いていなければ、読者は安い方へ流れます。
価格競争に巻き込まれているように見えるとき、原因は競合の値下げや客層に向きがちです。その見方は自然です。
ただ、読者がページを開いたときに価格以外の選ぶ理由を受け取れていなければ、読者は価格で比べるしかありません。「楽天最安値に挑戦」「他店徹底対抗」が最初に出ているページは、読者に「安さで選んでください」と伝えている状態になります。
値下げ通知が来るたび、利益が削れる
価格競争の中にいるとき、原因は外側に見えます。競合が理不尽に下げている。モール全体が安売り体質になっている。だから自社が何をしても変わらない。
その感覚は分かります。ECモールでは、価格で比べやすい画面が用意されています。安い順で並び替えられ、セールイベントも多い。店舗が価格を意識するのは自然です。
競合が安売りをするのは、その会社の選択です。それに追随するかどうかは、自社ページで何が届いているかに左右されます。
読者が価格以外の理由で「これが自分に合いそうだ」と受け取れているとき、競合の値下げはすぐに転換率を崩す要因になりにくくなります。
安さで集めると、安さで離れる
転換率を上げようとして、ファーストビューに「楽天最安値に挑戦」「他店徹底対抗」というコピーを大きく配置する。確かに、一時的にクリックや購入が増えることがあります。
しかし、安さで集めた読者は、安さを見て来ています。その読者は、他社がさらに安くなれば離れます。
安さに反応する読者が悪いわけではありません。安さで集めるという選択が、安さで判断する読者を集めているだけです。
その流れが続くと、レビューにも「安かった」「コスパが良い」という言葉が増えます。そのレビューを見た次の読者も、「安いから買う商品」としてページを読みます。
原価を削っても、安売りは終わらない
価格競争から抜け出せないとき、もっと原価を下げればいい、という方向に向かいます。仕入れ先との交渉、製造工程の見直し、梱包コストの削減。コスト削減の努力は価値があります。
原価を下げれば、安く売っても利益は残りやすくなります。ただ、読者が安さで選んでいる状態は変わりません。
コスト削減は重要です。ただ、それは安く売っても利益を残しやすくする作業です。
読者が価格以外で選ぶ理由を受け取れていなければ、さらに安い競合が出た瞬間、また値下げを迫られます。原価を削る努力と、安さで比べられる状態から抜ける努力は、別の問題として見る必要があります。
値下げでしか反応が取れないページに共通する3つの状態
最初に価格を見せている
価格競争に巻き込まれているページのファーストビューは、割引率、ポイント倍率、価格比較のコピーが前面に出ています。
読者に最初に届く情報が価格なら、読者は価格で比較し始めます。競合が1円安ければ、読者は競合を開きます。
レビューが「安かった」「コスパが良い」に寄る
レビューを見ると「安かったので購入しました」「コスパが良くて満足」というコメントが並んでいる。これは、価格で集まった読者が購入した結果です。
価格に反応して来た購入者は、価格の感想を書きます。その感想が次の読者にも「この商品は安いから買う商品だ」という印象を強めます。
通常価格に戻すと転換率が落ちる
セール価格を通常価格に戻した瞬間、転換率が急落する。この現象は、価格で集まっていた読者が、価格が戻ったことで離れた結果です。
通常価格で買われにくいなら、ページ内で価格以外の選ぶ理由が届いていない可能性があります。価格は後押しにはなりますが、選ぶ理由そのものではありません。
安い方へ流れるページと、崩れにくいページ
安い方へ流れるページは、価格、割引、ポイントが最初に届いています。読者はその情報を見て、他社と比べます。
崩れにくいページでは、読者がページの前半で「価格以外で選ぶ理由」を受け取っています。その後に価格を見るため、価格は比較の基準ではなく、選んでいい後押しとして働きやすくなります。
自社ページの中で、価格以外の選ぶ理由が届いていないとき、読者は安い方へ流れます。
以下の状態が続いているなら、値下げの前に確認すべき場所があります。
- 競合の値下げ通知が来るたびに追随して下げることを繰り返している
- 売上は立っているのに利益が手元に残らない状態になっている
- 通常価格に戻すと転換率がゼロに近くまで落ちる
- レビューが「安かった」「コスパが良い」という価格コメントばかりになっている
どこで安さ比較に戻っているかを確認します。
URLを送るだけで、2営業日以内に診断レポートをお送りします。
まとめ
ECでは、価格競争への対策として、コスト削減、セールイベントへの参加、ポイント倍率の引き上げが選ばれやすい。どれも必要な場面があります。
ただ、それだけでは、読者が安い方へ流れる状態は変わりません。ページを見た読者に「価格以外で選ぶ理由」が届いていなければ、競合が下げるたびに自社も下げる流れに戻ります。
値下げの前に、ページ内で価格以外の選ぶ理由が届いているかを確認する。そこが見えると、値下げ以外に見る場所ができます。