ターゲットを定めたのに、自分向けと思われない

「40代の働く女性へ」と最上部に置いた。その層に合うモデル写真も選んだ。なのに、来た読者は数秒で戻っていく。滞在時間は十数秒、直帰率は七割を超えたまま動かない。

ターゲットは合っているはずだ。それなのに、肝心の読者が「これは自分のページだ」と受け取ってくれない。同じ手応えのなさを抱えている店舗は多い。まず、この足踏みから見ていきたい。

名指ししたのに伝わらないのは、絞り込みが甘いからではない。
読者が「自分向け」と判断する場所と、あなたが合わせてきた場所が、別だっただけだ。

「属性を絞れば自分向けになる」はどこから来たか

年齢や職業でターゲットを定め、その人に向けた言葉と写真を最上部に置く。多くの店舗がそうする。これは自然な流れだ。制作会社はペルソナ設定を提案し、LPのテンプレートも「○○なあなたへ」を冒頭に置く型でできている。受け取る側には、誰に向けるかを先に決めて、その人に見た目を合わせる、という手順が正解として並ぶ。

多くの店舗が合わせている場所と、読者が見ている場所
合わせている場所
読者の属性(年齢・職業・ライフスタイル)と、それに合わせた写真やコピー
読者が見ている場所
自分がいま困っていることを、このページが分かっているかどうか

属性を合わせること自体は間違いではない。ただ、それを丁寧にやった後でも数字が動かない店舗が、現実に多く残っている。合わせるところは合わせた。それでも届かない。となると、読者が「自分向け」を判断している場所そのものを、一度見直す必要が出てくる。

読者は属性ではなく「言い当てられたか」で決める

ここで一度、視点を変えたい。読者は、自分の年齢や職業が一致するかどうかで「自分向け」を決めているわけではない。自分がいま抱えている困りごと、その正体を、このページが先に言い当てているかどうかで決めている。だから「40代女性のあなたへ」と名指しした直後に、商品の特徴や受賞実績の説明が始まると、読者は自分の困りごとが言い当てられる前に「これは自分の話ではない」と受け取って離れる。属性で呼びかけても、中身が一般的な商品説明の順番で進めば、呼びかけは効かない。「自分向け」を決めているのは、属性の一致ではなく、自分の困りごとが言い当てられる前に説明が始まっていないか、その順番のほうにある。

ペルソナ設定や属性コピーについて。
誰に向けるかを決めることにも、その人に写真や言葉を合わせることにも意味がある。向ける相手がはっきりすれば、言葉は選びやすくなる。ただ、それを合わせても、読者の困りごとを言い当てる順番のどこかで止まっていれば、その効果は表に出てこない。属性を絞ること自体が無駄なのではなく、絞るだけでは届かない場所が、別に残っている。

どこで「自分向けではない」と判断されているか

見るべきは、ターゲットコピーの言い回しや写真の良し悪しではない。読者がページを開いてから、自分の困りごとがどの順番で出てきて、どこで「ここには自分の話がない」と判断しているか。入口で属性だけ示されて素通りしているのか、読み進めたのに困りごとが言い当てられないまま離れているのか、説明は届いたうえで自分の悩みとは別物だと判断しているのか。止まっている場所によって、見るべきところはまるで違う。だから、まず今のページで読者がどこで判断を下しているかを確かめることが先になる。

以下の状態が続いているなら、次の施策の前に今のページを見る必要があります。

ECの現場が、長くそう教えてきた

ECの現場では長いあいだ、誰に向けるかを決め、その人に写真と言葉を合わせることが、売れるページの作り方として語られてきた。制作会社も、コンサルも、テンプレートも、その方向で説明してきた。だから、まず属性とビジュアルに手を入れるのは、ごく自然な選び方だった。

ただ、その方向のまま絞り込みを重ねていくと、読者が自分の困りごとを見失っている場所は見えないまま残り続ける。写真を撮り直し、コピーを練り直しても、判断が下される手前は変わらない。

転換率が動くかどうかは、ターゲットの絞り込みの細かさではなく、読者の困りごとが言い当てられる順番で届いているかで決まる。ただ、その困りごとが自社のページのどこで言い当てられそびれているのかは、今のページを外から見てみないと判断がつきにくい。