「あなたへ」でも止まらない
コンサルや書籍の教えに従い、ペルソナを設定する。30代、女性、デスクワーク、肌の乾燥に悩んでいる。
そのペルソナに向けて「30代で肌の乾燥に悩むあなたへ」と書く。「こんなお悩みありませんか?」という箇条書きも入れる。
しかしヒートマップを見ると、その箇所で読者は立ち止まっていない。見出しも悩みリストも、高速でスクロールされている。
「もっと細かく絞るべきだったのか」と考えて、年齢、職業、家族構成、年収、趣味まで設定する。細かくするほど、今度はそれをページの言葉にどう落とせばいいか分からなくなる。
読者が止まるのは、「これ、いつもの自分だ」と感じたときです。
「30代」「乾燥肌」というラベルが合っていても、それだけではページに戻ってきません。
読者が止まるのは、自分の一日の中にある場面がページに置かれたときです。属性の呼びかけと、日常の場面が届くことは別です。
細かくしても、刺さらない
ターゲットを絞っても転換率が動かないとき、「属性の絞り込みが甘かった」と考えます。
年齢を細かくする。職業を決める。悩みの種類を分ける。設定は精密になります。
30代、女性、乾燥肌。属性は合っています。
でも読者は、その言葉だけでは止まりません。自分の一日の中にある場面が描かれて、初めてページに戻ってきます。
ECでは、ターゲットを絞ることが改善策として語られてきました。これは必要な場面があります。ただ、属性を絞ることと、読者が自分ごととして受け取ることは別です。
悩みリストは、読まれない
「こんなお悩みありませんか?」という箇条書きは、多くのECページで使われます。
乾燥が気になる。肌荒れが続く。化粧品を変えても実感がない。項目としては間違っていません。
「乾燥が気になる」は正しい言葉です。
でも読者が止まるのは、正しい症状名だけではありません。洗顔後に頬がつっぱる。夕方、ファンデーションが粉を吹く。そういう場面です。
症状のラベルではなく、日常の場面が置かれたとき、読者は「これ、いつもの自分だ」と感じやすくなります。
専用と書いても、戻られる
絞り込みの効果を出そうとして、「〇〇な方専用」「△△を諦めた方へ」というコピーにすることがあります。
クリック率が一時的に上がることはあります。ただ、ページに来た後の転換率は動かない。直帰率が上がることもあります。
「諦めた方へ」に反応して開いた読者は、自分の状況を分かってくれる話を待っています。
そこで成分、製法、受賞歴が並ぶと、期待と届いたものがズレます。呼びかけで作った期待に、ページの中身が応答できていない状態です。
絞っても動かない3つの状態
シートで止まる
ペルソナシートには、年齢、職業、家族構成、趣味、ライフスタイルが並んでいます。
ただ、その人物が日常でどんな場面に止まっているのかが見えていない。だからページに落とすと、結局は機能説明や成分表になります。
ペルソナは届ける相手を整理するためのものです。ページで読者を止めるには、その人の一日の中にある場面が必要です。
広げたくなる
「絞りすぎると売れる人が減る」と感じて、20代から60代まで幅広く訴求したくなる。
この不安は自然です。ただ、誰にでも当てはまる言葉は、誰にも自分ごととして届きにくくなります。
広げる前に見るべきなのは、絞った先で読者の場面に届いているかです。そこがないまま広げても、通過される範囲が広がるだけです。
広告では届く。ページで止まる
Meta広告やリスティング広告では、ターゲティングを細かく設定できます。
ただ、広告で来た読者がページで止まることがあります。広告では「自分の話かも」と思ったのに、ページでは商品説明だけが始まる。
ターゲティングは、誰に届けるかの設定です。ページでは、その人が「これ、いつもの自分だ」と感じる場面が必要です。
止まるページ、進むページ
止まるページは、属性を呼びます。
30代、乾燥肌、デスクワーク、敏感肌。言葉としては正しい。ただ、読者の日常にある場面が置かれていないため、読者はそのまま通過します。
進むページは、日常の場面を置きます。
洗顔後の頬。夕方の鏡。マスクを外した後の口元。読者が「これ、いつもの自分だ」と感じた後に、商品の説明が届きます。
ページ内で、読者が「これ、いつもの自分だ」と感じる場面を受け取れているかです。
以下の状態が続いているなら、ターゲット設定の前後に確認すべき場所があります。
- ペルソナを設定してLPの冒頭に「〇〇なあなたへ」と書いたが、転換率が変わらない
- 「こんなお悩みありませんか?」の箇条書きが、ヒートマップで高速スクロールされている
- ターゲットを絞ると機会損失になる恐怖から、結局幅広い訴求に戻してしまう
- 広告のターゲティングを細かく設定しているのに、ページ到達後の直帰率が高い
どこで「いつもの自分だ」と感じられていないかを確認します。
URLを送るだけで、2営業日以内に診断レポートをお送りします。
まとめ
ECでは、転換率を上げる手段として、ターゲットを絞ること、ペルソナを設定すること、悩みに呼びかけることが語られてきました。どれも必要な場面があります。
ただ、属性が合っていても、読者は止まらないことがあります。読者が止まるのは、ページ内で「これ、いつもの自分だ」と感じたときです。
ターゲットを広げる前に、細かく絞り直す前に、ページ内で読者がどこで止まっているかを見る。そこが見えると、ペルソナシートの使い方も、広告からページへのつなぎ方も変わります。