Makuake実績は需要予測に使える。ただし、一般販売数へそのまま置き換えない
Makuake自身も、一般販売前に応援購入額や応援コメントから市場や生活者の反応を確認できることを、テストマーケティングのメリットとして挙げています。
2022年のMakuake実行者383事業者への調査では、62%がテストマーケティングにメリットを感じ、54%が「一般販売前に需要予測できる」と回答しています。
つまり、Makuakeの販売実績を在庫判断に使うこと自体は妥当です。
一般販売で毎月何個売れるかを、そのまま示す数量ではありません。
Makuakeは一般販売前の0次流通として使われ、先行性、リターン設計、価格条件、Makuake内での露出などを含めて応援購入が起きます。一般販売へ移ると、楽天・Amazon等の競合商品、レビュー、配送条件、広告、通常価格などが販売数へ影響します。
在庫判断は、「需要シグナル・一般販売条件・補充条件」の3つに分ける
Makuake終了後の発注判断は、1つの数字から決めるより、3つの層に分けると整理しやすくなります。
この3つを分けることで、Makuake販売数量をそのまま一般販売の追加発注数量へ置き換えず、一般販売用の在庫へ変換できます。
1|総応援購入額より、何が選ばれたかを分解する
在庫判断で最初に見るのは、応援購入総額だけではありません。
一般販売でSKUを持つなら、Makuake上でどの条件に需要が集まったかを分解します。
- サポーター数と総販売数量
- リターン別の選択数
- 単品・セットの比率
- サイズ・カラー・仕様などの選択比率
- 販売期間のどの時点で購入が増えたか
- 応援コメント・質問・配送後レビューで繰り返された需要
例えば、2個セットが多く選ばれていても、一般販売では単品購入が中心になる可能性があります。Makuakeのセット構成をそのまま一般販売SKUへ移すのではなく、一般販売で実際に販売する単位へ分解します。
2|Makuake価格と一般販売価格の差を、需要予測から切り離さない
Makuakeでは早割や限定価格が設定されることがあります。
一般販売では通常価格に戻る、モール手数料や送料を含める、ポイントやクーポンを使うなど、購入条件が変わります。
Makuakeで高い販売数が出ていても、一般販売価格が上がるなら同じ購入率を前提にしません。逆に、一般販売で配送が早くなり、レビューが増え、比較情報が整えば、Makuake時とは別の購入理由が増える場合もあります。
在庫数を決める前に、一般販売価格と利益条件を確定し、その価格で競合と比べたときの購入理由を商品ページへ反映します。
3|一般販売で変わる比較条件を加える
Makuakeから一般販売へ移ると、比較される環境が変わります。
在庫を決めるときは、少なくとも次の条件を足します。
Makuakeの販売実績を需要シグナルとして残し、この一般販売条件を重ねて初回在庫を決めます。
4|Makuake対応用の予備在庫を先に引き当てる
配送が完了して在庫が残っていても、その全量を一般販売へ回せるとは限りません。
初期不良、破損、数量不足、交換など、Makuakeサポーター対応に必要な在庫が残る場合があります。
物理的に別倉庫へ分ける必要はありません。同じSKUでも用途別に引当数量を管理し、一般販売可能数を明確にします。
5|MOQと補充リードタイムで、初回在庫の持ち方を変える
同じ需要シグナルでも、追加発注しやすい商品と、しにくい商品では在庫判断が変わります。
海外生産品なら、製造期間だけでなく国際輸送、通関、国内検品まで含めて見ます。一般販売で売れ始めてから発注しても、次回在庫が到着するまで数か月空く商品では、欠品リスクが大きくなります。
6|「何個発注するか」より先に、「いつ再判断するか」を決める
追加発注量は、販売開始前に完全に当てる必要はありません。
むしろ、販売開始後に実績を取り直せるよう、再判断する時点を先に決めます。
- 販売開始から何日分の実績を見るか
- 広告を使う場合、広告開始後の数値をいつ確認するか
- 在庫が何個になったら発注判断するか
- 次回発注から入荷まで何日かかるか
- 欠品しても問題ない商品か、欠品を避けたい商品か
「最初に正解数量を当てる」より、「販売実績を取り直せる時点を設計する」方が判断しやすくなります。
公開事例でも、一般販売用在庫を確保してから販売開始するケースがある
Makuakeの公開活動レポートでも、リターンの全数出荷後に「販売用在庫も確保できた」として一般販売開始を告知している事例があります。
また、追加生産分の完成時期と一般販売時期を分けて案内している事例や、追加生産後に一般販売を再開した事例もあります。
これらからも、Makuake終了後の一般販売は「残った在庫を売る」だけではなく、Makuake対応用在庫、一般販売用在庫、追加生産の時期を分けて考える必要があります。
Makuake終了後の在庫・追加発注|7つの確認
- Makuake実績を、総額ではなくSKU・リターン・価格条件へ分解する
- Makuake販売数と一般販売の月間販売数を同じ数字として扱わない
- 一般販売価格・競合・流入・レビュー・配送条件を追加する
- 交換・予備用在庫を先に引き当て、一般販売可能数を確定する
- MOQと補充リードタイムを確認する
- 初回在庫を決めると同時に、次回発注の判断日を決める
- 販売開始後の実績で需要予測を更新する
Makuakeは、一般販売前の需要を知るための有力なデータです。
その価値を落とす必要はありません。Makuakeで得た販売実績を需要シグナルとして使い、一般販売の価格・競合・流入条件と、MOQ・補充納期を加えて在庫計画へ変換します。
一般販売開始後は、実際の販売数・広告・レビュー・返品や問い合わせを加え、次回発注の判断を更新します。
Makuakeを一般販売前の0次流通・テストマーケティングとして活用し、需要予測に役立てるという記述は、Makuake公式の実行者調査を確認しています。初回在庫、MOQ、補充リードタイム、再発注判断の設計は、一般販売移行におけるEC実務上の判断です。
Makuake|0次流通市場に関する実行者調査
公開事例|全数出荷後、販売用在庫を確保して一般販売開始
公開事例|追加生産分の完成時期と一般販売予定
公開事例|追加生産後に一般販売を再開