回収できるはずだった

エクセルのシミュレーションは整然としていた。コンバージョン率が1%から1.5%になれば、同じ広告費でこれだけ売上が増える。3ヶ月で制作費は回収できる——。

数字を見ると納得感があった。しかし公開後、コンバージョン率は動かなかった。

シミュレーションが外れる理由がある。「コンバージョン率が上がった場合」で計算されているからだ。どうして上がるのかが見えていなければ、その数字は投資判断の材料にはなっても、回収の見通しにはならない。

デザインを整えることと、買う理由を届けることは別の作業だ。
見た目は整えられる。買う理由が届いているかは、別に確認する必要がある。

そう考えてしまうのは自然です。EC業界では長年、「LP改善はデザインをリッチにして、公開後にデータで調整することで回収できる」という方向で語られてきました。制作会社も、コンサルも、その流れで提案してきました。

だから、デザインを優先してしまうのは自然です。ただ、そのまま進むと、ページで買う理由が止まっている場所は見えないまま残ります。

綺麗になっただけだった

プロのデザイナーが作ったページは見やすくなった。写真が美しくなった。スマホでも読みやすくなった。

しかしコンバージョン率は変わらなかった。「どこかで見たようなページ」になっただけだった、という感覚が後から来た。

デザインとコンバージョン率の関係
デザインを整えると変わること
見た目が整う。写真が美しくなる。スマホ対応が丁寧になる。ただし、これらは見た目の改善であり、来た人が買う理由を持てるかどうかとは別の話だ
コンバージョン率が動く条件
来た人が「この商品でよさそうだ」と感じる理由が、ページ内で順番に届いていること。費用の多寡ではなく、ページの中で何が届いているかの話だ

デザインを整えることで数字が動く場面はある。ページを読んだ人が、買う理由をすでに受け取っているときだ。

その状態で見た目の使いやすさが改善されると、購入完了まで進みやすくなる。しかし買う理由が届く前に見た目だけが整っても、読者は「綺麗なページ」として処理して離脱する。

色を変えても残る

コンサルの指示でヒートマップを導入した。離脱が多い場所を見た。ボタンの色を変えた。ファーストビューの画像を差し替えた。A/Bテストを回した。

誤差レベルの変化しかなかった。また次の場所を見た。費用は増える。作業も増える。それでも数字は動かない。

A/Bテストと回収の関係
A/Bテストで分かること
今のページに来た人が、AとBのどちらにより反応するか。今のページの中での優劣を測定している
A/Bテストでは残ること
来た人が買う理由を持てない場所。ページ全体で買う理由が届いていない状態では、AとBを比べてもコンバージョン率は大きく変わらない

A/Bテストは、今あるページのどちらが良いかを見る作業です。ページ全体で買う理由が届いているかどうかは、別のところから見る必要があります。

ヒートマップやA/Bテストは有用なツールです。ただ、買う理由が止まっている場所を見るためのものではないため、そこだけ見ていても回収の見通しは変わりません。

補足:「AIの機械学習期間中です」「クリエイティブの摩耗です」という説明が代理店から来ることがあります。これらは広告の配信側の状況を見るうえでは必要な説明です。ただ、ページで買う理由が止まっている場合、その説明だけでは見えない場所が残ります。

安くても高くても残る

初期費用を抑えようと、テンプレートで作ったLPを使った。コンバージョン率は上がらなかった。「安かったから仕方ない」という判断で、次は高い制作会社に依頼した。コンバージョン率は変わらなかった。

費用が上がることと、コンバージョン率が上がることは別の話だ。

費用と回収の関係
費用が上がること
デザインの品質が上がる。写真が美しくなる。スマホ対応が丁寧になる。これらは見た目の改善であり、買う理由が届くかどうかとは直接つながらない
投資回収が早まる条件
来た人が買う理由を持てる状態になっていること。費用の多寡ではなく、ページの中で何が届いているかの話だ

安い業者で数字が出なかった経験があると、「次は高い業者なら違う」という判断になりやすい。それは自然な流れです。

ただ、高い業者もデザインのリッチさに投資するとき、ページで買う理由が届いているかどうかとは別のところに費用が使われます。費用を変える前に、今のページのどこで買う理由が止まっているかを見ることが先です。

以下の状態が続いているなら、次の制作依頼の前に確認することが残っています。

無料診断
次の投資の前に、今のページを見てください。
制作費を追加する前に、今のページで来た人が買う理由を持てる状態になっているかを確認することが先です。
どこで止まっているかが分かれば、次の投資をどこに使うかが決められます。
URLを送るだけで、2営業日以内に診断レポートをお送りします。
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※営業電話は一切いたしません。

クリックだけが増えた

コンバージョン率を上げる前に広告費を増やした。アクセスが増えた。売上の数字は少し動いた。しかし利益は増えなかった。広告費が増えた分だけ、利益が圧迫された。

買う理由が届かないまま流入が増えると、購入に進まないアクセスが増える。利益は広告費に食われ続ける。

広告費を増やすことは、アクセスを増やすための施策として有効です。ただ、ページで買う理由が止まっている場合、アクセスが増えてもコンバージョン率は変わりません。その状態で広告費を増やすほど、利益が残りにくくなります。

次の投資の前に

EC業界では長年、「LP改善はデザインをリッチにして、公開後にデータを見ながらA/Bテストで調整することで回収できる」という方向で語られてきました。制作会社も、コンサルも、その流れで説明してきました。

だから、デザインとA/Bテストを優先してしまうのは自然です。ただ、そのまま施策を重ねると、ページで買う理由が止まっている場所は見えないまま残ります。

LP改善の投資が回収できるかどうかは、制作費の多寡でもA/Bテストの回転速度でもありません。ページを読んだ人が買う理由を持てる状態になっているかどうかです。ただし、自社ページのどこで止まっているかは、記事だけでは分かりません。