勝ったはずなのに、下がった
赤いボタンと緑のボタンをテストする。2週間待つ。Aパターンのクリック率が少し高かった。本番に反映する。
翌月のRMSを開く。全体のCVRは、テスト前より下がっている。
「テスト結果は正しかったはずなのに」。この経験が積み重なると、A/Bテストへの信頼が揺らぎ始めます。
次のテスト案を考える。キャッチコピーを変える。ファーストビューの写真を変える。ボタンの文言を変える。それでも結果は誤差の範囲に収まる。次に何をテストすればいいかが見えなくなる。
ただ、読者がその前で止まっているなら、どちらを比べても大きな差は出にくくなります。
A/Bテストは、比べた2つのうち、どちらが良かったかを見るためのものです。
ただし、読者がその箇所まで来ていない。あるいは、その箇所に来る前に「自分には関係ない」と感じて離脱している。この状態では、ボタンの色や文言を比べても数字は動きにくいままです。
何を変えても、差が出ない
テスト結果が誤差の範囲に収まることが続くと、「もっと大きく変えないと分からないのかもしれない」と考えます。
次は見出しを大きく変える。次はファーストビューの構成を丸ごと変える。次はレビューの位置を変える。変更は大きくなっていく。
ボタンの色が原因で止まっているなら、色を変える意味があります。
でも、読者がボタンにたどり着く前に離脱しているなら、ボタンの色を変えても数字は動きにくい。ファーストビューの見出しも同じです。読者がその言葉を自分の話として受け取れていなければ、AでもBでも通過されます。
ECでは、A/Bテストが改善策として語られてきました。どれも必要な場面があります。ただ、テストで分かるのは、比べた2つの差です。ページ内で読者がどこで止まっているかまでは、別で見る必要があります。
勝ったのに、全体は動かない
特定のセクションでA/Bテストを行い、Aパターンが勝つ。本番に反映する。しかし全体のCVRは変わらない。あるいは翌月に下がっている。
このとき、テスト結果が間違っていたとは限りません。見ていた場所が狭かった可能性があります。
ページは、部品の集合ではありません。読者は上から順に読み、途中で納得したり、疑ったり、離脱したりします。
途中の1箇所を良くしても、その前で止まっている読者には届きません。逆に、1箇所だけを強くすると、前後の話とズレて、ページ全体の読み方が悪くなることもあります。
他社で勝った型を入れても、変わらない
テストのアイデアが枯渇したとき、「他社でCVRが上がった見出し」「成果が出たボタン文言」「成功事例のファーストビュー」を参考にすることがあります。
表面だけを見ると、すぐに使えそうに見えます。しかし自社ページでは反応しない。
他社で効いた表現は、その会社の商品、その読者、そのページの中で意味を持っていました。
自社の読者がどこで止まっているかが見えていないまま表現だけを借りても、同じようには届きません。結果として、「何をテストしても差が出ない」という状態が続きます。
A/Bテストで止まるページの3つの状態
何を変えるべきかが見えていない
「次は何をテストすればいいか」が分からない。これは、アイデア不足だけの問題ではありません。
ページ内で読者がどこで止まっているかが見えていないため、何を変えるべきかを選べない状態です。
どこで止まっているかが見えていれば、見出しを変えるのか、写真を変えるのか、順番を変えるのかが見えやすくなります。そこが見えないままでは、テストは候補探しになります。
結果を待つ間に、機会が流れる
アクセスが少ないページでA/Bテストを行うと、結果が見えるまでに時間がかかります。
月に数千PV以下のページで、ボタンの色や細かい文言を比べる。結果が出るまでに数ヶ月かかる。その間にも、ページへ来た読者は買わずに離脱していきます。
アクセスが少ない段階では、細かいテストより先に、ページ内で止まっている場所を見る方が現実的です。
部分だけ直して、流れが崩れる
お客様の声を上に移動する。FAQを削る。ファーストビューのコピーを強くする。
それぞれの変更は、単体では良く見えることがあります。ただ、ページ全体として読むと、話のつながりが悪くなることがあります。
部分だけを直し続けると、どのセクションが何のためにあるのかが見えにくくなります。結果として、長いのに読まれないページが残ります。
テストで動くページ、止まるページ
止まるページでは、どこで読者が止まっているかが見えないままテストが繰り返されています。
ボタン、見出し、色、順番。比べる対象は増えます。しかし、読者が止まっている場所と合っていなければ、どれを比べても差は出にくい。
テストで動くページでは、先に読者が止まっている場所を見ています。そのうえで、そこをどう変えるかを比べています。
テストの前に、読者がページ内のどこで止まっているかを見る必要があります。
以下の状態が続いているなら、A/Bテストの前に確認すべき場所があります。
- テスト結果が毎回誤差1〜2%の範囲内に収まり、差が出ない
- 「Aパターンが勝った」と適用したのに、翌月全体のCVRが落ちた
- 「次に何をテストすればいいか」のアイデアが枯渇している
- アクセスが少なく、テストが終わるまでの待機期間が長すぎる
どこで買う理由が届いていないかを確認します。
URLを送るだけで、2営業日以内に診断レポートをお送りします。
まとめ
ECでは、A/Bテストが購入率改善の手段として語られてきました。ボタン、見出し、写真、ファーストビュー。比べることで分かることはあります。
ただ、A/Bテストで分かるのは、比べた2つの差です。ページ内で読者がその前に止まっているなら、どちらを比べても大きな差は出にくくなります。
A/Bテストを始める前に、ページ内で読者がどこで止まっているかを確認する。そこが見えると、何をテストすべきかの見え方が変わります。