クリックのたび、赤字が増える

RPP広告のレポートを開く。クリック数は出ている。広告費も出ていく。しかし注文が入らない。ROASは損益分岐点を下回ったまま動かない。

代理店には「認知フェーズです」と言われる。広告管理画面の数字は動いている。けれど、月末の利益は残らない。

入札単価を数円単位で調整した。ROASの悪いキーワードを除外した。サムネイルを綺麗にした。別の広告メニューも試した。それでも状況は変わらなかった。

広告でできるのは、読者をページへ連れてくるところまでです。
ページで買う理由が届いていなければ、クリックは注文に変わりません。

ROASは広告費だけで決まる数字ではありません。広告で来た読者が、ページの中で購入に進めるかどうかにも左右されます。

同じ広告費でも、ページで止まる場所が変われば、ROASの見え方は変わります。逆に、ページ内で読者が止まっているまま広告費を増やしても、買わずに離脱する人数が増えやすくなります。

設定を変えても、赤字が残る

ROASが低い状態が続くと、まず広告設定に目が向きます。入札を変える。キーワードを変える。配信対象を絞る。

これは自然な流れです。広告管理画面には、CPC、クリック数、表示回数、ROASが並んでいます。画面の中で見えている数字を動かしたくなるのは当然です。

広告設定に目が向く理由
事業者が見ている場所
CPC、キーワード、入札、広告メニューが合っていないからROASが上がらないと考える
残っている可能性
広告で来た読者が、商品ページで買う理由を受け取れずに離脱している。広告の入口を変えても、ページ内で止まっている場所が残っている

広告は、読者をページへ連れてきます。そこから先はページの仕事です。

広告で来た読者がページを開く。しかし、最初に届くのはスペック、価格、レビュー数だけ。「なぜ今これを選ぶのか」が届く前に、比較画面へ戻っている。この状態では、入札を変えても注文にはつながりにくいままです。

広告設定を触っても変わらないとき。
代理店は広告運用を整える役割を担います。制作会社は見た目を整える役割を担います。どちらも必要な仕事です。ただ、ページを見た読者がどこで止まっているかは、別で見る必要があります。

入札を変えても、止まる

広告設定に原因があるように見える背景があります。RMSや広告レポートには、広告側の数字が並びます。

クリック単価、表示回数、クリック率、配信キーワード。見える数字が広告側に寄っているため、問題も広告側にあるように見えます。

入札を変えても止まる理由
事業者が信じている原因
CPCが高すぎる。狙うキーワードがズレている。AIの学習が足りていない。だからROASが上がらないと考える
残っている可能性
広告で来た読者の期待と、ページの入り方が合っていない。クリック後に「自分のためのページだ」と感じる前に離脱している

たとえば、「楽天 ○○ 効果ない」で検索してきた読者は、すでに別の解決策でうまくいかなかった状態にいます。

その読者に、ページ冒頭で「〇〇配合」「レビュー高評価」「送料無料」だけが届くと、読者は自分の悩みが受け止められたとは感じにくい。

広告の設定を変えても、着地したページの入り方が変わらなければ、離脱は残ります。

広告側を触っても、残る

ROASが改善しない状態が続くと、広告側の施策が増えていきます。

広告側の施策で残る問題
ROASの悪い商品の除外
広告費の無駄は減ります。ただ、除外した商品は売れる機会も失います。ページの中で止まっている場所は残ったままです
サムネイルの刷新
クリック率が上がることはあります。ただ、ページの中で買う理由が届いていなければ、クリックが増えた分だけ広告費も増えます
別メニューへの変更
流入元は変わります。ただ、着地するページが同じなら、読者が止まる場所も同じまま残りやすくなります

これらの施策が不要という話ではありません。広告費の無駄を減らし、流入の精度を上げるために必要な場面があります。

ただ、クリック後のページで買う理由が届いていなければ、広告側を触ってもROASは動きにくいままです。

ROASが動くページ、止まるページ

検索した理由を受け止めている

ROASが動くページは、流入キーワードの奥にある読者の状態を受け止めています。

読者は、キーワードだけで来ているわけではありません。何かに困った。比較した。試した。うまくいかなかった。その流れの中で検索しています。

その状態に対して、ページ冒頭で「このページは自分の話だ」と感じられると、次を読む理由が生まれます。

広告費の前に、ページを見る

ROASが動く店舗は、広告費を増やす前に、ページで読者がどこで止まっているかを見ています。

ページで止まる場所が残ったまま広告費を増やしても、買わずに帰る読者が増えます。逆に、ページで買う理由が届くようになると、同じアクセスでも注文への進み方が変わります。

広告設定の調整は、その後に意味を持ちます。ページで止まる場所が見えてから、どのキーワードに費用をかけるべきかを判断しやすくなります。

ROASをページの数字として見る

ROASが低いとき、それを広告の数字だけとして見ると、打ち手は入札、キーワード、広告メニューに寄ります。

ページの数字として見ると、別の場所が見えてきます。広告で来た読者が、どこで止まり、どこで比較画面に戻っているのか。

ROASが低いという数字は、広告費の問題だけではなく、ページで買う理由が届いていないサインでもあります。

ROASは、広告だけで閉じる数字ではありません。
広告で来た読者が、ページで買う理由を受け取れているかを見る必要があります。

以下の状態が続いているなら、広告費を増やす前に確認すべき場所があります。

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広告費を増やす前に、止まっている場所を見る。
広告費を使ってもROASが動かないなら、ページ内で読者が止まっている場所が残っている可能性があります。
どこで買う理由が届いていないかを確認します。
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まとめ

ECの広告運用では、ROASが改善しない原因として、入札単価、キーワード、広告メニューが見直されやすい。どれも必要な場面があります。

ただ、広告でできるのは読者をページへ連れてくるところまでです。ページで買う理由が届いていなければ、クリックは注文に変わりません。

広告費を増やす前に、ページ内で読者がどこで止まっているかを確認する。そこが見えると、広告費や入札の見方も変わります。