止めた瞬間、売上が消える

管理画面を開く。アクセス数は増えています。広告のクリック数も増えています。しかし利益は増えていない。

試しに広告予算を下げる。翌週から注文通知が鳴らなくなる。慌てて予算を戻す。

月次の損益を見ると、売上は一定以上あるのに、広告費を差し引いた後の利益が薄くなっている。入札単価を調整する。クリエイティブを変える。ターゲティングを絞る。CPAは少し下がる。

しかし、広告を止めたときの不安は変わらない。広告費をかければ売れる。止めると売れない。この流れから抜け出せないまま、次の月を迎えます。

「広告を止めると売れなくなる」状態は、広告だけの問題ではありません。
広告なしで来た読者が「この商品を選ぶ理由」を受け取れないまま離脱しているとき、売上は広告費の量に左右されます。

ECでは、売上を伸ばすためにアクセスを増やす施策が語られやすい。広告、SEO、モール内露出はどれも必要な場面があります。

ただ、アクセスを増やしても、ページで買う理由が届いていなければ利益は残りにくくなります。人を増やすほど、買わずに離脱する人数も増えるからです。

アクセスを増やしても、漏れていく

アクセス数が月間数万あるのに、転換率が1%を下回ったままという状態があります。100人が訪れて、99人以上が何も買わずにページを去っている状態です。

広告を増やして入口を広げる。訪れる人数は増えます。ただ、買わずに離脱する読者も同じ比率で増えます。

アクセスに目が向く理由
事業者が見ている場所
売上が伸びないのは、まだ十分に知られていないからだ。アクセスを増やせば、一定数は購入するはずだと考える
残っている可能性
すでにアクセスはあるが、ページを見た読者に買う理由が届いていない。人を増やしても、買わずに離脱する人数も増える

アクセスを増やすことは必要です。ただ、ページを見た読者の多くが買わずに帰っている状態では、広告費が先に増えます。

転換率が低いまま広告を増やすと、売上より先に費用が増えます。広告を止めると売れない。広告を増やすと利益が薄い。この苦しい状態が続きます。

「一度使えば分かる」が、ページでは届かない

商品に自信がある。実際に購入した顧客からは「良かった」という声も届く。

それでも新規の読者は、最初の一歩を踏み出しません。「知ってもらえれば買ってもらえるはずだ」という感覚が、広告への依存を深めます。

商品の良さだけでは届かない理由
事業者が信じている原因
もっと多くの人にページを見てもらえれば、商品の良さが伝わって売れるようになると考える
残っている可能性
商品の良さはあっても、ページを見た読者に「今の自分がこれを選ぶ理由」までは届いていない

「一度使えば良さが分かる」は正しい場合があります。ただ、その良さをページで読者に届けることと、商品の品質を高めることは別です。

品質への確信が強いほど、ページでどう伝わっているかが後回しになりやすくなります。読者は商品を使った後の実感をまだ知りません。ページ上で受け取った理由だけで、最初の購入を判断します。

値下げでつないだ分、次が苦しくなる

転換率が低い状態が続く。少し価格を下げる。ポイント還元率を上げる。クーポンを発行する。

一時的に転換率が上がることはあります。しかし利益が薄くなります。次の月も同じことをしなければ、転換率が元に戻る。

値引きで残る問題
市場で選ばれやすい手段
転換率が低いなら、価格を下げる。ポイントを上げる。広告費を増やす。SEOでアクセスをさらに増やす
それでも残る問題
価格やポイントで購入を支えている状態では、価格以外の理由で選ばれにくい。値引きを戻すと、購入も止まりやすい

競合が低価格で参入する。自店も価格を下げる。競合がポイントを上げる。自店もポイントを上げる。競合が広告を強める。自店も広告費を増やす。

この繰り返しの中でCPAが高くなり、利益率が下がり続けます。抜け出す入口は、価格や広告以外で読者が選ぶ理由をページで届けることです。

広告に頼るほど見えなくなること

なぜ買われなかったかを見なくなる

広告が売上を動かしている状態では、「売上を上げる=広告予算を増やす」という操作になります。

転換率が低くても、広告費を上げれば注文数は増える。このとき、なぜ多くの読者が買わずに帰ったのかは見られにくくなります。

しかし広告費に対して利益が改善しない状態が続くとき、見る場所は変わります。広告をこれ以上増やしても利益にならない。その段階で、ページ内で読者が止まっている場所を見る必要が出てきます。

競合を真似て、ページだけが長くなる

売上が伸びない原因をページに求め、競合の売れているページを参考にする。権威性のバナー、使用シーンの写真、詳細なスペック比較。ページが長くなります。

しかし、これらを足しても、読者に「今の自分にはこれが必要だ」と届かなければ転換率は変わりません。

競合ページの表面をなぞることと、読者が買う理由を受け取る流れを作ることは別です。要素だけを移しても、その順番までは移りません。

以下の状態が続いているなら、広告の最適化より先に確認すべき場所があります。

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広告を増やす前に、止まっている場所を見る。
広告を増やしても転換率が動かないなら、ページ内で読者が止まっている場所が残っている可能性があります。
どこで買う理由が届いていないかを確認します。
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まとめ

ECでは、売上を伸ばすためにアクセスを増やす施策が語られてきました。広告、SEO、モール内露出はどれも必要な場面があります。

ただ、広告なしで来た読者に買う理由が届いていなければ、売上は広告費に頼り続けます。広告を止めると売上が消える状態は、広告だけの問題ではありません。

広告費を増やす前に、ページ内で読者がどこで止まっているかを確認する。そこが見えると、広告費や値引き以外に見る場所ができます。