広告費を引くと、毎月の利益はほぼゼロだった

SP広告の管理画面を開く。インプレッションとクリックは伸びている。売上高も先月を上回った。

しかし損益を計算する。売上から原価、Amazon手数料、物流費、広告費を差し引く。手元に残る利益が、想定より大きく少ない。

広告費を増やすほど売上は増える。しかし利益率は改善しない。ACOSを下げようとして入札単価を調整する。キーワードを除外する。ターゲティングを絞る。

ACOSは少し下がる。しかし露出が減り、売上も下がる。売上を維持しようとすれば入札を戻す必要がある。広告費、売上、利益の間で、同じ調整が続いていきます。

広告は、売れるページに人を連れてくるためのものです。
ページを見た読者が購入していない状態で広告費を増やすと、穴がふさがっていないページに、広告費で水を注いでいる状態になります。

ACOSは見えやすい数字です。だからAmazon広告の改善では、入札調整、キーワード除外、自動入札ツールが語られやすい。

もちろん、広告設定の調整は必要です。ただ、広告ができるのは、どの読者を、いくらで、どれだけ連れてくるかです。ページを見た読者が買う理由を受け取っているかは、別に確認する必要があります。

広告が連れてきた読者が競合の売上に貢献している

SP広告でクリックした読者がページに来る。A+コンテンツをスクロールする。買う理由が見つからない。

ページ下部には「この商品に関連する商品」の広告枠がある。そこには競合商品が並んでいます。自社より安い商品。レビュー数が多い商品。似た機能の商品。

自社が広告費を払って連れてきた読者が、競合ページへ向かう。広告費だけが消え、成約は競合が取る。

ACOSに目が向く理由
セラーが見ている場所
ACOSが悪い。入札単価が高い。無駄なクリックが多い。だから、キーワード選定や入札調整を改善すれば利益が残るはずだと考える
残っている可能性
広告で来た読者が、ページの中で買う理由を受け取れていない。広告設定を整えても、ページで買われなければ広告費は利益に変わりにくい

ACOSは「広告費 ÷ 広告経由売上 × 100」で計算されます。広告経由売上は、クリック数、購入率、客単価で変わります。

入札調整で触れるのは、主にクリック単価と露出です。しかしページを見た人が買う割合は、広告設定だけでは変わりません。

ページを見た100人のうち1人しか買わない状態と、3人が買う状態では、同じ広告費でも売上が変わります。ここが変わらないまま入札だけを触っても、ACOS改善には限界があります。

広告さえ回せば売れる、が成り立つ条件

広告費を増やせば売上が増える。この考え方は、ページに来た読者が一定数購入しているときに成り立ちます。

ページを見た100人のうち1人しか買わない状態では、広告費を増やすほど漏れも増えます。人を連れてくる力は強くなっているのに、ページ内で購入に進む人が少ないためです。

広告費が漏れる理由
よくある見立て
Amazonで利益が出ないのは、広告のアルゴリズムが複雑で、運用調整が追いついていないからだと考える。競合の広告予算に押されていると感じる
残っている可能性
広告は人を連れてくるだけです。ページに来た読者が買う理由を受け取っていなければ、広告費を増やすほど離脱する読者も増える

ユニットセッション率が1%のページと3%のページでは、同じクリック数でも成約数は3倍違います。広告費が同じなら、売上も利益も大きく変わります。

入札調整は必要です。ただ、ページで買われる理由が届いていない状態では、広告設定だけで利益構造を変えることは難しくなります。

ロングテールキーワードに絞ってACOSを下げる場合。
入札単価が低いキーワードに絞ることで、ACOSの数字が良くなることはあります。ただし露出が減り、売上規模が縮小することもあります。ACOSという比率が良くなっても、売上と利益の絶対額が下がることがあります。

セールで売上の山を作っても、利益が残らない

プライムデーやタイムセールで広告費を増やす。値引きも強める。売上の山はできます。

しかし、割引で利益率は下がり、広告費も増えています。計算すると、実質赤字か超薄利になっていることがあります。

セールが終わると通常期に戻る。通常時のページで買われる理由が変わっていなければ、次のセールでも同じ利益構造に戻ります。

よく選ばれる改善策
市場で選ばれやすい手段
AI自動入札ツールを導入する。広告運用代行会社に依頼する。ロングテールキーワードに絞る。セール時に広告費を投下して売上の山を作る
それでも残る問題
広告やツールは、ページに来た読者が買う理由を受け取っているかまでは変えない。通常時のページで買われる理由が変わらなければ、セール後も同じ状態に戻りやすい

セールは悪い施策ではありません。広告費を強めることも、売上の山を作ることも必要な場面があります。

ただ、ページそのものが通常時に買われる状態になっていなければ、セールのたびに売上の山を作り、利益は薄いまま終わるサイクルになりやすい。

入札を触る前に、見る場所がある

毎日の調整で、ページが後回しになる

ACOSとROASのレポートを毎日確認する。ROASが下がると入札を調整する。除外キーワードを増やす。ターゲティングを絞る。

この作業は、やっている感が出やすい。数字も動きます。ただ、商品ページは数ヶ月間ほとんど変わっていないことがあります。

広告設定だけが日々変わり、ページで買う理由が届いているかは見られていない。この状態では、同じ問題が残り続けます。

運用代行を入れる前に

月数十万円の運用代行費用を検討する。プロに任せれば広告が整い、利益が改善するはずだと期待する。

広告運用代行が整えるのは、キーワード、入札、ターゲティング、露出です。もちろん重要です。ただ、ページを見た読者が買う理由を受け取っているかは、別に確認する必要があります。

ページの購入率が低い状態で運用代行費用が増えると、固定費が増え、利益がさらに圧迫されることがあります。

以下の状態が続いているなら、次の広告設定の調整より先に確認すべき場所があります。

無料診断
次の入札調整前に、止まっている場所を見る。
入札調整を続けてもACOSが変わらないなら、ページで買う理由が届いていない可能性があります。
広告費をかけて来た読者が、ページ内でどこで止まっているかを確認します。
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まとめ

Amazon広告では、ACOSとROASを見ながら入札やキーワードを調整することが改善策として語られてきました。広告運用代行や自動入札ツールも、必要な場面があります。

ただ、広告は売れるページに人を連れてくるためのものです。ページを見た読者が買う理由を受け取っていない状態で広告費を増やすと、売上は増えても利益が残りにくくなります。

次の入札調整の前に、ページの中で読者がどこで止まっているかを確認する。そこが見えると、広告費の使い方も変わります。