粗利だけが削れていく
競合が価格を下げた。対抗して自社も下げる。セッションは少し増える。しかしユニットセッション率は誤差の範囲でしか変わらない。
値下げした分だけ粗利が削れる。月次の損益を確認すると、売上の数字は維持されているように見える。けれど、手元に残る利益は薄くなっている。
赤字覚悟のプロモーションを数ヶ月続ける。ランキングは上がる。しかしプロモーションを止めた瞬間、ランキングと売上が急落する。価格以外の理由で選ばれていなければ、値下げを抜いた瞬間に元の水準へ戻ります。
ページを見たあとに「これを選ぶ理由」が届いているかは、価格とは別の問題です。
Amazonでは、価格とレビュー数が大事だと言われ続けてきました。たしかに重要です。価格が高すぎればクリックされにくくなる。レビューが少なければ不安も残る。
ただ、その見方だけになると、価格を下げる以外の選択肢が見えにくくなります。値下げで呼び込んだ読者に、価格以外で選ぶ理由が届いていなければ、次の安い競合へ流れていきます。
価格を下げた瞬間に、比較の土俵に乗っている
価格を下げることは、価格という軸で競合しにいくことです。その時点で、読者に「価格で比べてください」と伝えている状態になります。
価格で比べられると、より安い競合が現れた瞬間に負けます。資本力のある海外メーカーや大型セラーが、数日以内にさらに低い価格を出してくる。価格だけで戦うほど、次の安い競合に引きずられます。
値下げで増えるのは、検索結果でのクリックです。タイムセールや限定割引のバッジが付けば目立つ。クリックもされやすくなります。
しかしページを開いたあとに「これを選ぶ理由」が届いていなければ、読者はスペックを確認し、また他の商品を見に行きます。値下げで呼び込んだ読者を、さらに安い競合へ案内している状態です。
安いから選ばれる、とは限らない
Amazonユーザーは合理的だから、価格が少しでも高いと選ばれない。そう考えることがあります。
ただ、同じカテゴリに、自社より高単価でも高いユニットセッション率を維持している商品が存在します。合理的だから必ず安い方へ流れるなら、高単価の商品は売れにくいはずです。
読者が合理的であることは、価格以外の根拠を受け取れれば、価格以外でも判断できるということです。
「なぜ安い選択肢ではなく、これなのか」。その答えがページで届いたとき、読者は価格だけの比較から少し離れます。ここが、高単価でも売れているページと、値下げしても売れないページの差です。
安さで選んだ人と、商品の価値に納得して選んだ人では、期待の持ち方が違います。価格だけで集まった読者は、少しでも期待と違うと不満を持ちやすいことがあります。値下げは売上を作る一方で、長期的にはレビューやブランドイメージに影響する場合があります。
クーポンが終わると、元に戻る
値下げの次に、クーポンやまとめ買い割引を設定する。見かけの安さを競合より際立たせる。一時的にユニットセッション率が動くこともあります。
しかしクーポンが終了すると、元の水準に戻る。また次のクーポンを発行する。この繰り返しに入ると、価格以外で選ばれる理由を作る時間がなくなっていきます。
ACOSが悪化する理由も同じです。値下げでクリックは増える。広告費の消化スピードも早くなる。しかしユニットセッション率が変わらなければ、より多くのクリックを呼び込むだけになります。
広告費を見直す前に、ページ内で買う理由が止まっていないかを見る必要があります。
値下げでは積み上がらないもの
価格以外で選ばれた実績が残らない
値下げで売れ続けると、価格が理由で選ばれた実績だけが積み上がります。価格以外の理由で選ばれた経験は増えません。
その状態で価格を戻そうとすると、売上が急落する。やはり値下げしないと売れない。この確信だけが強くなります。
本来、ページの力とは、価格を維持したまま選ばれる状態です。その力は値下げでは積み上がりません。値下げで維持しているランキングは、資産ではなく消耗品です。次の競合が現れるたびにリセットされます。
競合の価格に引きずられる毎日
競合の価格設定を毎日確認する。競合が下げると自社も下げる。競合がクーポンを出すと自社も出す。この反応の繰り返しの中で、ページそのものを見直す時間が取れなくなります。
その日常から出る入口は、競合の価格を無視することではありません。競合の価格に反応しなくても売れるページを作ることです。
以下の状態が続いているなら、次の値下げの前に確認すべき場所があります。
- 価格を下げるとクリックは増えるがユニットセッション率が変わらず、粗利だけが削れている
- 値下げプロモーションを止めるとランキングと売上が急落し、資産として何も残っていない
- クーポンやまとめ買い割引を繰り返しているが、終了するたびに元の水準に戻るサイクルが続いている
- 競合の価格に毎日反応して疲弊しており、ページそのものを見直す時間が取れていない
ページを見た読者に、価格以外で選ぶ理由が届いているかを確認します。
URLを送るだけで、2営業日以内に診断レポートをお送りします。
まとめ
Amazon運用では長く、まず価格を競合水準に合わせること、レビュー数を増やすことが語られてきました。どちらも重要です。
ただ、その見方だけになると、値下げ以外の選択肢が見えにくくなります。値下げはクリックを増やすことがあります。しかし、ページを見た読者に「これを選ぶ理由」が届いていなければ、利益は残りにくい。
次の値下げを検討する前に、価格以外で選ぶ理由がページに届いているかを確認する。そこが見えると、価格競争とは別の改善が始まります。