勝ったのに、売れない

ブランド分析のA/Bテスト機能を開く。「Aパターンが有意に勝利しました」。緑色のバッジが表示されている。数週間のテスト期間をかけた結果だ。Aパターンの画像を正式に採用する。

しかしセラーセントラルを確認すると、ユニットセッション率のグラフは採用前後でほとんど変わっていない。全体の売上数字も先月と同じ水準。勝ったはずなのに、売上は動いていない。

手に入ったのは、「A案がB案より反応された」という情報だった。けれど、なぜ反応されたのかは見えない。次に何を変えるべきかも分からない。結果として、似たような画像を延々と比べる作業だけが続いていく。

A/Bテストが見ているのは、A案とB案の差です。
どちらの案にも、買う理由を前に進める力がなければ、勝った方を採用しても数字は動きません。

A/Bテストは便利な改善手段です。結果が数字で出る。レポートもしやすい。何かを前に進めている感覚も得やすい。

だからこそ、Amazon改善の現場では「常にテストを回すこと」が正しい改善として語られてきました。運用代行会社も、LPOツールも、テスト結果を出せば改善作業を示しやすい。ただ、その作業で本当にユニットセッション率が動くかは別です。

そこを変えても、買う理由は増えない

A+コンテンツの画像の順番を変える。テキストのフォントサイズを少し大きくする。バナー画像の色味を調整する。これらをA案とB案として数週間テストする。どちらかが勝つ。しかしユニットセッション率は0.1%も動かない。

テストに目が向く理由
セラーが見ている場所
テストツールの使い方、画像パターンの数、フォントや色の違い。ここを増やせば、いつか大きく数字が動くはずだと考える
実際に残りやすい問題
画像の順番やフォントサイズだけでは、読者が「この商品は自分に必要だ」と感じる理由までは作りにくい。細部を比べる前に、買う理由がページ上で届いているかを見る必要がある

ユニットセッション率を動かすものと、A/Bテストでよく比べられるものには差があります。画像の順番、フォントサイズ、バナーの色。これらは見た目の微差です。

読者がページを見て「この商品は自分に関係ある」「他ではなく、これを選ぶ理由がある」と感じるかどうか。ここは、色や順番だけでは決まりません。ページ全体で、買う理由がどこまで届いているかで変わります。

少し良くなる。大きくは変わらない

A/Bテストで数値がわずかに改善する。「前進している」という感覚がある。0.1%から0.2%へ。たしかに改善は起きている。

ただ、起点となるページのユニットセッション率が1%台のままだと、テストで得られる改善の上限もその範囲に収まりやすい。ページ全体で、読者が買う理由を受け取る順番が作られていないとき、テストは「その状態の中で、どちらがまだ反応されたか」を見ているだけになる。

数字が動きにくい理由
よくある見立て
Amazonのアルゴリズムや市場の飽和のせいで、A/Bテストの効果が出にくい。テスト結果を積み上げていけば、いずれ大きな改善につながるはずだと考える
残っている可能性
A案とB案の両方に、買う理由を前に進める力が足りていない。見た目の微差を積み上げても、ページ全体で「なぜ自分に必要なのか」が届いていなければ、数字の上限は変わりにくい

ユニットセッション率が2%から4%に変わるとき、それは小さな色変更の積み上げだけで起きるとは限りません。ページ全体で、読者の見方が変わったときに起きます。

その変化は、画像の順番や背景色のテストだけでは起こりにくい。読者が何と比べ、どこで迷い、何が届けば選べるのか。そこを見る必要があります。

「他社の勝ちパターンを真似てテストする」場合。
他社のA/Bテスト成功事例を見て、「この要素を変えると改善する」と考えることがあります。ただ、見た目だけを真似しても、そのページが売れていた理由までは移りません。商品カテゴリ、価格帯、読者の迷いが違えば、同じ画像でも同じ反応になるとは限らないからです。

テストでは見えない場所がある

A/Bテストは、用意されたA案とB案のどちらが相対的に良いかを測定します。この仕組みの中では、最初に用意した案の質が上限を決めます。

A案もB案も、読者が買う理由を受け取れるページになっていない。そういう状態では、どちらが勝っても大きな上限は変わりません。ツールは、用意された選択肢の中から反応が良かったものを見つけます。ただ、新しい買う理由を作るわけではありません。

よく選ばれる改善策
市場で選ばれやすい手段
外部のLPOツールを使って、タイトル、価格、メイン画像などを多変量テストで自動最適化する。または他社で勝ったテスト事例を自社の画像に適用する
それでも残る問題
ツールは選択肢の中で反応が良いものを選ぶが、選択肢そのものの意味までは変えない。選択肢の中に買う理由が入っていなければ、最適化の上限は低いまま残りやすい

次に何を試すかが尽きる

似たような画像だけが増えていく

A/Bテストを一定期間回し続けると、次の仮説が浮かばなくなる時期が来ます。画像の角度を変える。テキストの文字数を減らす。バナーの背景色を変える。試せる微差の組み合わせが尽きていく。

そのとき残るのは、「次に何を試せばいいのか」という迷いです。答えは、デザインの微差の外にあります。ページを見た人が、どこで買う理由を失っているか。そこを見るには、テスト設定ではなく、ページ全体を読む目が必要です。

テスト期間中にも、読者は来て帰っていく

A/Bテストには時間とトラフィックが必要です。数週間のテスト期間中、広告費は消化される。ページを見た読者も、その間に来て帰っていく。

テストが見ているのは見た目の微差です。その微差を比べている間に、ページのどこで買う理由が止まっているかは見えないまま残ります。

以下の状態が続いているなら、次のテスト仮説を立てる前に、先に確認すべき場所があります。

無料診断
次のテスト前に、止まっている場所を見る。
テストで数字が動かないなら、見ている場所が違う可能性があります。
ページを見た人が、どこで買う理由を失っているか。先にそこを確認します。
URLを送るだけで、2営業日以内に診断レポートをお送りします。
テスト前にページを診断する
※営業電話は一切いたしません。

まとめ

Amazon改善の現場では長く、A/Bテストを回し続けることが科学的な改善として語られてきました。画像を変える。順番を変える。フォントや色を変える。どれも意味のある確認です。

ただ、その前にページで買う理由が止まっている場合、テストは細部の比較にとどまります。A/Bテストそのものが悪いわけではありません。先に見る場所があるだけです。

次のテスト仮説を探す前に、ページを見た読者がどこで買う理由を失っているかを確認する。そこが見えると、テストする対象も変わります。